2. チェンバロとの出会い

 私がチェンバロを始めたのは「劇的な出会い」があったわけではありません。子供のころからピアノを勉強していて人前で弾くのが好きだったのですが、手が小さいため「ピアニストになるのは無理だ」と小学生の時に宣告されてしまいました。その時「チェンバロをやってみたら?」と言われましたが、「手が小さいからチェンバロ」というのがイヤで拒否しました。

 その時代はまだモダンチェンバロが全盛期でしたから、その時にチェンバロを始めていたら全く違う方向に行っていたでしょう。

 そして大学では作曲を専攻しましたが、机に向かって音楽を作っていく作業は私の性に合わず、やはり人前で演奏したいと思っていました。副科でチェンバロをとる事ができたので、子供の時は拒否したけど一体どんな楽器なのか知りたくなり、3年生になって始めました。最初はすごく簡単な曲しか弾かせてくれなかったので、正直あまり楽しくありませんでした。

 その上悩まされたのがピッチの問題です。徹底した絶対音感教育を受けてきた私にはCの音がHに聞こえてしまったのです。簡単な曲を弾くのにもすごく苦労しました。C-durの曲を弾いていても手が勝手にH-durに移調した状態で弾いてしまうのですから・・・。

 でもそのうちピアノとは全く違った音楽へのアプローチの仕方に興味がわき、いつの間にか「チェンバロをやりたい」という気持ちが芽生えていき、大学卒業時にはもうチェンバロの道に進むことを決めていました。

 子供の頃は手が小さかったため、バッハとモーツァルトしか弾けませんでした。そのせいかモーツァルトは弾く気がしないのですが、バッハは一度もいやだと思ったことがないんです。やはりバロックが性に合っていたのかもしれません。

 それからトントン拍子にスピネット、一段鍵盤、そして今持っている二段鍵盤の楽器を順に手に入れることができました。これには面白いエピソードがあるのですがまた次回に。

 

2000.2.10