16. 第22回 古楽コンクール〈山梨〉を聴いて

 4月26,27日に甲府で行われた「古楽コンクール〈山梨〉」に行ってきました。今回は伴奏もしたので、予選では全員の演奏は聴けませんでした。


 予選の順番と弾く曲は、当日の午前9時に発表されました。初期ものと(途中までというのもあった)フランスものとドイツものが細切れで計10分でした。いかに様式感を出すかが問われるな、と思いました。


 初期ものはモダン楽器から入った人には遠い存在で、最初はとっつきにくいです。私もそうでした。「シンプルなものはシンプルに」と言われるのですが、ピアノでは「歌って、歌って」ばかり言われてきたので、余計なところで歌ってしまうのです。時にはロマン派の歌い方になってしまうこともあります。シンプルな魅力がわかってきたのは、最近のことです。


 私はチェンバロ奏者ですから、どうしても通奏低音に耳が行ってしまいます。最近の傾向なのか、やたらと和音をじゃらじやらと鳴らす人が多かったです。アルペッジョ過多のように感じ、それが続くと疲れます。アルペッジョをたくさん入れるところと、あまり入れないでもっと旋律が聞こえるように通奏低音を弾くと、メリハリがつくように思いました。


 本選に残ったのは6名。予想通りの結果で、入賞者のレベルは高かったと思います。


 審査員の方々も講評でおっしゃっていましたが、自分(の世界)だけで弾いている人が多く見受けられました。つまり、聴衆とコミュニケーションをしていないということです。コンクールであれ「人に聴かせる」ということを意識しないと、と思いました。


 私は生徒の発表会を1〜2年に1度やっていますが、必ず聴衆を意識するように言っています。発表会前のレッスンでは、楽器から離れた所に座って聴きます。そうすると、音が聴衆の方に響いてくるかがわかりますから。


 人前で弾くというのはいつでも難しいことですが、音楽という「瞬間芸術」(私の大好きな演出家の蜷川幸雄氏が、よくこの言葉を使います)を聴衆と共有する、その楽しみ、喜びを忘れないでいたいものです。


2008.4.29