23. ロベール・コーネン氏の公開レッスン

 5月25、26日とわが師、ロベール・コーネン氏の公開レッスンが我が家で行われました。前日までロベール(以下、こう呼ばせていただきます)はツアーで回っていたので、1人1時間のレッスンで1日5人はけっこうハードだったようですが、もうすぐ喜寿を迎えるとは思えない元気さでした。

レッスンではロベールがたくさん弾いてくれて、その後に生徒さんが弾くとガラッと変わっていて、マジックだなと思いました。共通しておっしゃっていたことは「歌を歌っている時をイメージして息を吸って」「他の楽器でどう弾くかをイメージして」「これは鍵盤で弾くオーケストラの音楽なんだ」等々でした。
写真23-2(クリックすると拡大されます)
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 F.クープランを選んだ方が多かったのですが、クープランは曲のタイトルの訳し方が難しいです。その訳が全然違っていたこと(ある曲のタイトルの意味は私のフランス語の先生に伺っていたのですが「そんな解釈はクープランの世界にはない」とのことでした)、また、タイトルが何を意味しているかはたいして重要なことじゃないという意見が、私にとっても新鮮でした。重要なのは楽譜と最初に書いてある指示(Tendrementとか)をよく見ることであると。例えば第6オルドルには有名な「神秘な障壁」という曲がありますが、これもタイトルが何を意味しているのか色々な説があるけど、どれが本当かはわからない。でも、テンポが早すぎると失敗するということでした。FUZEAUのファクシミリ版にはタイトルの意味が書かれていますが、これはその辺の音楽学者が書いたものだからあてにならないそうです。
スヴェーリンクやフレスコバルディの曲はオルガンでも弾けますが、ロベールは元々オルガニストなので、オルガンをイメージした解釈が多かったです。「ここではストップを足すからもっと時間を取って」「ここはvoix humaine(直訳すると「人間の声」)というストップを使って弾きたい部分だから、もっと柔らかく」等々。


 アンサンブルは2組ありましたが、ロベールが通奏低音を弾いてくれると音楽がスムーズに運び、通奏低音奏者の責任の重さを痛感しました。派手に右手の和音を入れるわけではないのですが、構成がとてもよくわかります。レッスンの後、打ち上げに行った時にロベールに「最近のアルペッジョをじゃらじゃら入れる通奏低音をどう思う?」と聞いたら、首を横に振っていました。


 最近の古楽器界はずいぶん変わってきたようですが、ロベールのような「味のある」演奏に触れることは少ない気がします。


 私も聴いている人の心が豊かになる演奏が出来れば、と思いました。


2009.5.27